企業成長を支える人材投資の重要性(要約版)
~スキルの可視化×HRテクノロジーの活用で、より柔軟で競争力のある組織を築く~
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その他
本コラムは、コラム「企業成長を支える人材投資の重要性」の要約版です。
人的資本経営は、従業員の持続可能な働き方を推進するうえで非常に重要な考え方です。本記事では、株式会社SP総研の民岡良氏へのインタビューを通じ、人材投資の重要性とHRテクノロジーを活用した組織変革のカギについて探ります。
【本記事のポイント】
〇人的資本経営の推進において、広義の意味での「スキル」に着目し投資していくことが重要。ビジネス上のパフォーマンス発揮に
つながるすべての要素をスキルと捉え、各人材が保有するスキルをフルに活かせる仕事は何か?を考えていく。
〇事業戦略の推進において、組織能力の可視化(=組織の集合体である各人材のスキルの可視化)が不可欠。
従業員のスキルの可視化・棚卸しをしたうえでHRテクノロジーを活用することで、効果的な組織成長を促すことが可能になる。
執筆者

ビジネスコーチグループ B-Connect株式会社
ビジネスコーチ編集チーム
松村 若奈
企業成長を支える人材投資の重要性(要約版)
人的資本経営は、企業が持続可能な成長を実現するために不可欠であり、経営戦略として遂行していくべきです。従来の経営では、人材はリソースやコストとしてのみ捉えられがちでしたが、近年では人材を「資本」としてもみなし、競争優位性を生み出す重要な投資対象でもあるとする考え方にシフトしてきています。この転換に伴い、企業は人材育成に対して長期的な視野で投資する必要性が高まっています。しかし、よくありがちな学び放題のプラットフォームを提供する、といったような福利厚生的な側面だけでは、本質的な人材への投資とは言えません。人材への投資には、従業員が持つスキルの可視化とその活用が欠かせないのです。
特に、スキルとは単なる知識や技術だけでなく、性格特性ややる気・モチベーションも含まれ、広義の意味で捉える必要があります。企業は、従業員がどのようなスキルを持っているかを可視化・棚卸しして、そのスキルをフルに活かせる適切な仕事を任せることが求められます。これは各従業員が最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を整えることにも効果的です。
しかしここで注意したいのは、日本企業はこれまでスキルではなく、過去の経験や年齢に基づいて人材を配置することが多かったということ。本来の意味でのスキルの可視化が必要です。
そして、スキルの可視化により従業員が保有スキルをフルに活かせ、従業員が最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を整えるには、HRテクノロジーの活用が重要です。HRテクノロジーを使うことで、従業員のスキルをデータ化し、組織全体の能力(=ケイパビリティ)とのギャップを特定することができます。
このケイパビリティは従業員の個々のスキルの総和で構成されるものであり、組織全体のパフォーマンスに直結します。
そのため、個々のスキルの可視化が不可欠。組織全体として必要なスキルを把握したうえで、個々のスキルとのギャップを可視化し、ギャップを埋めるトレーニング案を検討することが必要であり、だからこそHRテクノロジーの活用が効果的なのです。
企業の持続的な成長を支えるためには、スキルの可視化とHRテクノロジーの活用を掛け合わせた新しいアプローチが求められます。現場主導型でスキルの可視化を進め、ボトムアップとトップダウンのアプローチを両立(経営戦略と人材戦略を連動)させることが、柔軟で競争力のある組織づくりに繋がるといえるでしょう。
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【民岡氏プロフィール】 1996年慶應義塾大学経済学部を卒業後、日本オラクル、SAPジャパン、日本アイ・ビー・エム、ウイングアーク1stを経て2021年5月に(株) S P総研 代表取締役に就任。現在は「持続可能な働き方」を追求するためのコンサルティングサービスを提供しており、「人的資本開示」(ISO 30414)に関する取り組みについても造詣が深い。日本企業の人事部におけるデータ活用ならびにジョブ定義、スキル定義を促進させるための啓蒙活動にも従事。 著書に『HRテクノロジーで人事が変わる』(共著、労務行政、2018年)、『経営戦略としての人的資本開示』『戦略的人的資本の開示』(共著、日本能率協会マネジメントセンター、2022年)、『現代の人事の最新課題』(共著、税務経理協会、2022年) 、『最新のHRテクノロジーを活用した 人的資本経営時代の持続可能な働き方』(すばる舎、2024年)等がある。「ビジネスガイド」(日本法令)等への寄稿、ならびに、労政時報セミナー、HR Summit、日経Human Capital、HRカンファレンス等、登壇実績多数。 |