- 社内コーチ育成プログラム
- キャリア開発支援
アビームコンサルティング株式会社
(コーチング研修)
課題を解決するだけでなく相手の話を聴くことも必要だと考えました

アビームコンサルティングでは、「コーチング研修」と「社内コーチ育成研修」をビジネスコーチに依頼しました
クライアント企業情報
アビームコンサルティング株式会社
アビームコンサルティング株式会社は日本を代表するコンサルティングファームです。設立は1981年(昭和56年)4月。
従業員数 4,961名(2018年4月1日現在 連結)、資本金 62億円、連結売上高 748億円(2018年3月期)。
ご担当者様
人事グループ トレーニングセンター マネージャー 水谷 由貴子 氏
お客様の課題・ご要望
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・各部門においてコーチング文化の浸透を通じて組織力を上げること
ビジネスコーチの提案・サポート
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・コーチング研修
End to Endのコンサルティング・サービスを提供
- 御社の会社概要をお聞かせください。
当社は1981年に設立した、業界×サービス×グローバルの3つの総合力を掲げる日本発・アジア発の総合コンサルティングファームです。当社の強みは、戦略立案・構想策定などマネジメントにおけるコンサルティング・サービスから、システム導入・構築を含めたSIコンサルティング・サービスまでを提供できること、さらに、システム稼働後のアウトソーシング業務、運用・保守、新たな課題への業務改善など、End to Endのサービスをワンストップで提供できることです。
当社の経営理念は、社会やクライアントに対して約束する価値や企業姿勢を表した「Real Partner」に表現されています。クライアントの変革を実現する“真のパートナー”として、長く険しい道のりでもクライアントと共に困難を切り抜け、共に歩んで行くことを約束しています。
カウンセラーに向けたコーチング研修を依頼
- 御社はビジネスコーチにどんな業務を依頼していますか。
マネージャー(課長クラス)必須の1日研修「コーチング入門研修」と、12人の選抜メンバーが約8カ月かけて体系的にコーチングを学習する「社内コーチ育成プログラム」の研修業務を依頼しています。概要は次の通りです。
「コーチング入門研修」はマネージャーに昇格した人、マネージャーとして中途入社した人を対象に、なるべく早いタイミングで受講してもらっています。学習するのは社内のカウンセリング制度を踏まえた上で、「コーチングスキルとは?」「コーチングスキルはどんなときに活きる?」といった大枠で、コンサルティングとは違う「コーチングスキルの適用」という意識の植え付けを重要なポイントに置いています。
「コーチング入門研修」の上位に位置する「社内コーチ育成プログラム」は、各部門から選抜されたマネージャー以上の12名が専門的なコーチングスキルを習得します。最終ゴールは各部門においてコーチング文化の浸透を通じて組織力を上げること、そのスキルの証としてビジネスコーチが認定した「認定プロフェッショナルビジネスコーチ」の資格を取得することです。
キャリア形成の支援を行うカウンセリング制度
- コーチング研修に取り組むことになった経緯、目的を教えてください。
カウンセリング制度とは、プロジェクト単位で業務に携わるカウンセリー(社員一人ひとり)に、所属している部門のなかからカウンセラーがアサインされ、そのカウンセラーがカウンセリーの中長期的なキャリア形成の支援を行う制度です。マネージャー以上は基本、全員がカウンセラーとなります。具体的には以下の図の通りです。
出典:アビームコンサルティング様HPより
https://www.abeam.com/jp/career/mid-career/careerpath/#art_04
社員一人ひとりを中長期的な視点で育成する
- なぜ御社ではカウンセリング制度を導入したのでしょうか。
当社では10年以上前からカウンセリング制度を実施しています。
当社の社員の多くは、お客様先でコンサルティング業務を行うコンサルタントです。コンサルタントは、所属部門以外の多様なメンバーとプロジェクト単位で仕事(プロジェクトワーク)を進めていきます。つまり、社員はプロジェクト内でのプロジェクトリーダーと部門直属の上司という2つの上司が存在することになります。
プロジェクトワークという働き方のなかでキャリアパスの道筋を明確にし、社員一人ひとりを中長期的な視点で育成することを目的に設けられたのがカウンセリング制度です。
プロジェクトリーダーの視点でもっとも重要なのは、現在のプロジェクトでのパフォーマンス。プロジェクトリーダーの部下に対する役割は、プロジェクトでのパフォーマンスを評価・指導することです。プロジェクトが終了すれば、次のプロジェクトでプロジェクトリーダーが変わりますから、プロジェクトリーダーが部下のキャリアパスまでアドバイスすることは多くありません。
一方、中長期のキャリアパスを導く役目を担うのは、本来所属している部門の上司、すなわちカウンセラーとしたのです。
- カウンセラーがカウンセリーに対し具体的に行うことを教えてください。
カウンセラーには大きく分けて評価とキャリア開発の役割があり、定期的な面談と日々のコミュニケーションを通じてカウンセリングを実施しています。
面談は、評価の仕組みと連動しており、必ず決まったタイミングで実施しなければいけないため、対面での実施率も非常に高く、全社に浸透しています。一方で中長期的なキャリアにつながる日々のコミュニケーションについてはオフィシャルな定義があるわけではなく、各部門あるいは個々のカウンセラーに委ねられてるのが現実です。
コンサルタントの優れた問題解決力が足枷に
-カウンセリング制度はどこに課題があったのでしょうか。
定期的な面談は浸透していても、年に数回の短時間のカウンセリング時間で中長期的なキャリアを支援できるところまでお互いに理解できるか、というとやはり難しさが残ります。コンサルタントという職業柄、カウンセラーはカウンセリーの相談の解決策を考えて先に答えを導き出してしまう傾向があることが大きな課題でした。相手の話を聞いた後、すぐに正解やまとめに入るのはコンサルタントとしては優秀といえますが、カウンセラーとして機能しているとはいえません。カウンセリー側からすれば、単に「上司に言われたから」となってしまいます。特に日々コミュニケーションをとらず、定期的な面談だけを実施している場合、カウンセラーがいくらスキルアップやキャリアパスを説いても、カウンセリーとしては「普段の自分を理解した上で言っているのか」わかりませんし、その結果、カウンセリーを行動させるほどの説得力が生まれないのです。
コーチングに求めたのはカウンセリーの考えを引き出すスキル
- カウンセリング制度をより効果的にするための施策がコーチング研修だということでしょうか。
先に挙げたカウンセリング制度の課題を解決し、評価やフィードバックを別として、本来あるべき日々の指導の部分の改善を目指してカウンセラーに求めるべきものを以下に整理しました。
◎自分の考えを押し付けない。
◎聞き役だけで終わらない。
◎良い質問を投げて、自分で答えを見つけ自覚させる。
集約すると「カウンセリーの考えを引き出し、自ら答えを見つけるスキル」となります。そこで、我々が注目したのはカウンセラーに対するコーチング研修です。
ビジネスに生かせること、柔軟なカスタマイズ対応力を要件に
- コーチング研修を行うにあたり、ベンダーに求めた要件を教えてください。
2015年末、ビジネスコーチをはじめ、3社のコーチング研修ベンダーにお声をかけさせていただきました。それぞれのベンダーに当社が求めるコーチング研修の要件を伝え、その要件を満たすベンダーを選定することにしました。以下の3つがその要件です。
<仕事に生かせるビジネスのコーチング研修>
会社でやる以上、「あなたの人生の課題を解決します」のようなライフコーチは求めませんでした。課題を解決し成果を出すこと、ビジネスで生かせることが何より大事。そうした研修プログラムを構成できるかどうかを要件にしました。
<カスタマイズへの対応>
当社のカウンセリング制度や評価の仕組みといったエッセンスを取り入れていただく必要があります。つまり、パッケージ有りきではなく、フルカスタマイズも念頭に置いた柔軟な対応をベンダーに求めました。
<当社のコンサルタントに受け入れられる講師>
これまで何度か様々なタイミングで外部の講師を招き研修を行ったことがあります。それで分かったのは講師の適性です。忙しい時間を割いて研修を受けることになりますから、この講師の話は聞く価値がある、と思わせることが何よりも大事になってきます。。例えば、講師の話し方がロジカルでなければ、本質でないところが気になってしまい、勝手に「聞く価値がない」と判断されてしまう、非常にもったいないことが起きてしまうのです。
3つの要件すべてに応えていただいたのがビジネスコーチでした。ビジネスコーチの名の通り、ビジネスに即したコーチングを得意とし、当社が要求するカスタマイズにも柔軟に対応いただきました。さらに、講師の選定に関してはプロフィールだけでなく、実際の研修シーンのビデオでチェックさせていただき、当社のコンサルタントに合う講師を選定することができました。
カスタマイズにより実際の業務に即した研修へと進化
- ビジネスコーチのコーチング研修についての評価をお願いします。
研修を受けたコンサルタントからは高い評価が得られています。例えば、コーチングの本を読み、知識として蓄積し理解していても「知っているのと実際にやるのでは異なる」とのこと。長期間のワークショップを通じて同期の絆が生まれたと同時に、「自分のクセを見つけることができる」「ほかのカウンセラーの手法を見て学べる」といった具合に、研修から多くのコーチングスキルを習得できたようです。
また、要件としてカスタマイズ対応を求めましたが、ビジネスコーチの対応力は想像以上でした。例えば、現在の「コーチング入門研修」では「最初の30分に会社の期待値について社員からの話を入れる」「ワークショップでは当社のコンサルタントがサポーターになる」などを追加し、実際の業務に即したハイブリッドなプログラム構成となっています。細かいことですが、例題や会話のスクリプトなども、受講者アンケート結果を元に当社のビジネスで起こりうる設定に変えてもらいました。さらに「社内コーチ育成プログラム」を受けたメンバーから集めた質問を精査し研修に取り入れてもらうなど、相互フィードバックも行っています。
社内の活性化にコーチング研修も貢献
- カウンセラーが学んだコーチングスキルを、カウセンリーにフィードバックできていると感じていますか。
受講したコンサルタントからはカウンセリングやプロジェクト、さらには家庭で実践し、効果がでているというフィードバックを受けています。まだまだ小さな成果ですが、働き方改革や人事的な施策も相まって、個人的には社内の雰囲気は良くなってきていると感じています。「社内の活動・企画に対し自発的に手を挙げる」「勉強会の頻度が向上する」など、部門やプロジェクトを超えた集まりが多くなったように思えます。
トレーニングセンターとしては「認定プロフェッショナルビジネスコーチ」の資格者には、部門内でカウンセリング制度をもっと効果的に機能させるため、アドバイザー的な役割や啓蒙活動、例えば、カウンセラーを集めてワークショップを行うなどを積極的に行ってほしいという思惑があります。コーチング研修を始めて2年足らずですが、コーチング入門の導入で多くのマネージャー陣に知られるようになり、後続の社内コーチにも興味を持つ人が増えたことを考えると、今後に期待を持てる結果が出ていると思います。
先行ユーザーからのアドバイス
- 現在、ビジネスコーチの活用を考えている企業に向けて「先行ユーザーとしてのアドバイス」などあればお聞かせください。
講師にはこだわるべきでしょう。「一般企業」「管理職経験」「挫折経験」といったキーワードを付ければ絞れますが、正直なところ、プロフィールレベルでは分からない部分もあります。おすすめは「研修シーンのビデオを見ること」「実際に研修に参加してみること」です。講師選びに惜しみない協力をいただけるビジネスコーチなら、それぞれの企業に合う講師がきっと見つかるはずです。バラエティに富んだ講師陣を揃えているのもビジネスコーチの強みだと思います。
研修シーンをビデオに撮ることもおすすめです。冷静な視点で見返すことで、良い点・改善点などを正確に判断できます。それを施策として新たな研修に組み込めば、さらに良い研修プログラムになるはずです。
今後の期待
- ビジネスコーチへの今後の期待をお聞かせください。
研修で終わるのではなく、資格を持つカウンセラーがコーチングセッションを回すなどで自走していきたいというのが当社の当面の目標です。そういう意味では、ビジネスコーチに資格取得者を対象としたフォローセッションも考えていただけると助かります。
当社の唯一無二の資産は人であり、社員全体の成長の総和が会社の成長、クライアント企業の成長につながっていきます。カウンセラーが習得したコーチングスキルを日常的に駆使できるようになれば、カウンセリー個々人の成長とともに会社の成長にも寄与するはずです。そのためにも、ビジネスコーチには優れたコーチング研修と提案を通じて後方支援いただくことを希望します。今後ともよろしくお願いします。