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味の素株式会社

(1on1ミーティング導入プログラム )

知らない者同士だからこそ本音で語り合える。味の素(株)の「ななメンター」(ナナメ1on1)に学ぶ、職場を超えたコーチングの実践法

左から、味の素株式会社 コーポレートサービス本部 人事部 キャリア開発グループ 三瓶 佑史 氏、シニアマネージャー 佐藤 英毅 氏


※この記事は2022年9月2日公開としております。


【味の素株式会社】知らない者同士だからこそ本音で語り合える。味の素(株)の「ななメンター」(ナナメ1on1)に学ぶ、職場を超えたコーチングの実践法

クライアント企業情報

味の素株式会社

味の素(株)は、100年以上前に「おいしく食べて健康づくり」という志をもって創業しました。現在では、食と健康の課題解決企業として、全世界で3万人を超えるグループ社員と共に、世界135以上のエリアで7億人を超える生活者に商品を提供しています。

ご担当者様

コーポレートサービス本部 人事部 キャリア開発グループ シニアマネージャー 佐藤 英毅氏


コーポレートサービス本部 人事部 キャリア開発グループ 三瓶 佑史 氏

お客様の課題・ご要望

    社員一人ひとりの能力を引き出していくためのマネジメント力やリーダーシップ力の向上

    ・若手層の成長支援を充実化(若手社員の視野の拡大・キャリア選択肢の拡大)

ビジネスコーチの提案・サポート

    1on1ミーティング導入プログラム

相手の仕事内容さえ知らない「ナナメの関係」を選択した理由

Q:ななメンター(※)導入の背景についてお聞かせください。なぜ貴社では「ナナメ」の関係性強化が必要だと考えたのでしょうか。

(※)味の素株式会社では、ナナメ1on1を「ななメンター」と呼ぶ

写真1_味の素様.jpg

三瓶氏:当社では毎年エンゲージメントサーベイによる調査を実施しています。2020年の結果では、企業の持続的な成長を示すスコアについては全体的に上昇したものの、社員一人ひとりの能力を引き出していくためのマネジメントやリーダーシップには改善の余地が見られました。また入社10年未満の若手層からは、成長に対する支援をさらに充実させていくことが求められているとも感じていました。

佐藤氏:近年の味の素(株)ではグローバル化がさらに進み、事業の形も変わり続けています。若手にとっては活躍の場が広がっている一方で、キャリアに単一の正解はなく、将来を自律的に考えていかなければならない状況でもあるのです。直属の上司とは年1回のキャリア面談を実施する機会を設けていますが、上司側も幅広い事業領域すべてを経験しているわけではありませんし、ひとりの上司が部下のキャリア開発の責任をすべて負うことはできません。

そこで考えたのが意図的にナナメのコミュニケーション機会をつくる「ななメンター」の仕組みです。日頃の業務では関わることのない先輩社員と1on1で話す場を設けることで、若手社員の視点が広がり、キャリアの選択肢も広がっていくのではないかと期待していました。

Q:あえて「普段の上司・部下ではない」関係性での1on1を行うことで、日頃の業務を離れてキャリアについて話せるようにしたのですね。

三瓶氏:普段から業務で関わっている上司と部下では、キャリアについて話す機会をなかなか持てない現実もあると思います。若手からの相談を受けた際にも、日頃の姿をよく知っている上司はどうしてもティーチング的な関わり方になってしまいがちです。

一方で普段の業務を知らないナナメの関係であれば、相手の仕事内容を知らないからこそ、よりフラットに本音で語り合い、コーチング的に関わってもらえるのではないかと考えました。実際にななメンターの対象者を決めるマッチングの段階でも、過去に上司・部下だったことのない組み合わせとなるよう留意しましたね。

「コーチングを身に付けたい」と考えるマネージャー層から多数の応募が集まった

Q:相談する側である「メンティー」と相談を聞く側である「メンター」は、どのように選出したのでしょうか。

三瓶氏:ともに手挙げ式で募集し、第1期では50組・100名の組み合わせをつくりました。メンティーについては入社7〜10年目くらいまでの若手を対象とし、手を挙げた人は全員受けられるようにしています。メンターについてはメンティーを上回る数の応募があり、第1期もそれに続く第2期も、スムーズにペアリングできました。

写真2_味の素様.jpg

佐藤氏:メンターの募集については、当初懸念していた部分でもあったのです。というのも、ななメンターは若手のメンティーのための施策という側面があります。対してメンターを担ってもらうのは30〜40代のミドルマネージャー層。ただでさえ多忙な日常を送っている人たちが手を挙げてくれるのだろうかと心配していました。

Q:蓋を開けてみると、想像以上にミドルマネージャーが手を挙げてくれたわけですね。

佐藤氏:はい。メンターになったからといって、特に人事考課面でのメリットがあるわけではありません。それでも多くのミドルマネージャー層が手を挙げてくれたのは、「若手の成長に寄与したい」という強い思いがあったから。これは人事として、とてもうれしい出来事でした。また、メンター自身も実際に部下を持つ中で、従来のタテの管理型のマネジメントではなく、コーチングで部下の能力を引き出していく必要性を感じていたようです。「ななメンターを通してコーチングの能力を身に付けていきたい」と考える人が多かったのかもしれません。

三瓶氏:実施後のアンケート結果を見ると、メンターからは「純粋に20代の若手の声を聞きたいと思った」という声もありました。中には海外拠点に駐在しているメンターもいます。海外では日本人の部下が少なく、若手となるとさらに限られてしまうので、ななメンターの仕組みを活用して若手と交流したいと考えたようです。

佐藤氏:メンター募集に多数の応募があったことで、「過去に上司・部下の関係性だったことがない」組み合わせもスムーズにつくることができました。こうして2021年6〜8月にかけてななメンター第1期を実施。1on1を行う頻度は完全に各ペアに任せ、それぞれがやりやすい形で進めてもらいました。

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解決策を提示するのではなく「若手の話を傾聴し、ともに悩める」メンターへ

Q:ななメンターの仕組みを機能させるために、準備段階ではどのような点を工夫しましたか?

三瓶氏:実施前には、新たな取り組みを始める機運を盛り上げていくため、ビジネスコーチに協力してもらってキックオフセッションを行いました。実際のメンター・メンティーのペア同士がみんなでZoom上に集まる顔合わせの場です。その上で導入研修を実施。ここで初めてコーチングの手法を学んだメンターもたくさんいました。

一方でメンティー側には、ななメンターに臨む上での心構えを持ってもらえるよう注力しました。「メンターがすべて導いてくれる」という受け身の考え方では、せっかくの対話の場を生かしきれないかもしれません。自らキャリアを能動的に考え、メンターとの対話の機会を大切にしてほしいと伝えました。

Q:コーチングの関わり方に慣れていない方が多かったとのことですが、取り組みはスムーズに進んだのでしょうか。

三瓶氏:実践の場として取り組むのが初めてということもあり、当初は長年培ってきたティーチングの習慣が出てしまう人が多かったように思います。「実際にやってみると難しい」「研修と実践は違う」という声もよく聞かれました。

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佐藤氏:マネージャー層は経験が長ければ長いほど、若手の悩みに対してつい解決策を考えてしまうんですよね。しかし、ななメンターの場では若手の話を傾聴し、ときには一緒に悩むことも大切。こうした対話を実践するのはマニュアルがあっても難しく、ななメンターを通じて成長し続けなければならない部分なのだと考えます。そのため、現在はメンターとメンティーが全員参加できる座談会の場を設けて、良い関わり方の事例共有などを進めているところです。

Q:取り組みを支援するビジネスコーチに対しての評価はいかがでしょうか。

佐藤氏:ななメンターのような取り組みは、まだ世の中にはあまり事例がないと思います。その中でもビジネスコーチは私たちと一緒にゼロからつくり上げていく姿勢で、必要なことを柔軟に提案してくれていると感じます。

三瓶氏:ビジネスコーチとの日々のコミュニケーションでは、業界動向や最新の1on1事例などを提供してもらい、私たちが考えた企画についても一緒にアップデートしてもらえるのがありがたいですね。そして取り組みの当日には一緒に参加して動いてもらえる。この現場でのサポートにも感謝しています。

新たな気づきを得るだけではなく、メンティーの行動変容にもつながった

Q:ななメンターを通じて、メンティーである若手の方々にはどのような変化が見られますか? 取り組みに対する反応などをお聞かせください

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三瓶氏:アンケートでは、メンティーのほぼ100%が「何かしらの気づきを得られた」と回答しています。また、気づきを得るだけでなく、実際の新しい行動にもつながると回答している人が多いですね。将来のキャリアを言語化できるようになったり、より具体的なキャリアプランをもとに他の部署の人とつながったり。実際にメンター経由で社内人脈が広がったという話も聞きました。ななメンターを実施する3ヶ月の期間だけでなく、その後もつながりが持続し、広がっていくことに意味があるのだと感じています。

Q:他社で行われている研修などでは、「研修参加時にモチベーションが高まったものの自部署でスキルを生かす機会がない」「直属の上司の理解を得られず学びを生かせない」といった若手の声も聞かれます。ななメンターに参加したメンティーの方々には、こうした課題はありませんか?

三瓶氏:ななメンターについては、就業時間外に取り組んでもらっています。極論を言えば直属の上司を通さなくても参加できるので、若手は自由に機会を生かせているのではないでしょうか。

佐藤氏:直属の上司の視点で言えば、部下がななメンターに参加するといっても、他部署の人から自分たちの具体的な仕事内容やテーマに口を出されるわけではありません。ななメンターで交わされるのは現在の業務ではなく、メンティー本人の将来やキャリアを主体的に考えるための対話です。

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その意味では直属の上司にデメリットはなく、むしろこれまで背負っていた部下のキャリア開発の負担軽減にもつながるんです。ななメンターをきっかけに部下のキャリアイメージが明確になれば、将来の選択肢が多様化していくことはもちろん、現在の業務にも好影響を及ぼすはず。直属の上司もその変化を後押ししてもらいたいと考えています。

「日頃の関わりがない人同士」を結びつけるからこその価値

Q:今後、貴社ではななメンターの取り組みをどのように進化させていきたいと考えていますか?

佐藤氏:まだ研修を実施して間もない、「点」の取り組みなので、参加者を増やしながら徐々に発展させていきたいと考えています。次回は第3期の実施を予定しており、第1期・第2期と同規模の応募が集まるのか不安もありますが、ななメンターの意義が少しずつ社内に広がっていくことを期待しています。

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三瓶氏:人事が一生懸命に社内広報するよりも、すでにななメンターを経験した人たちの口コミが循環していくのが一番理想的ですね。メンティーは自身の将来のために、メンターはコーチング能力をはじめとしたスキルアップのために、ぜひ積極的に機会を活用してほしいです。

Q:貴社の取り組みを知って、ななメンターを導入してみたいと考える企業が増えるかもしれません。これから取り組みを始める方へのアドバイスをお願いします。

三瓶氏:日頃の業務で関わることのない人同士をつなげることには不安があるかもしれません。しかし、日頃の関わりがない人同士の1on1だからこそ価値が生まれるということは、実感を持ってお伝えできます。そのためには事前のスキルセットを入念に行い、士気を高めていく場を設定し、ペアに過度な負荷をかけることなく動き出せるようにするための支援が大切です。メンター側への教育には目が行きやすいのですが、同時にメンティーの意識を高めることも忘れてはいけないと思います。

佐藤氏:ななメンターは、メンター側の管理職にティーチング以外のスキルを身に付けてもらい、メンティー側の若手にはキャリア開発や新たなネットワークをもたらすことができる有用な取り組みだと考えています。意志を持って進めていけば、社員のエンゲージメント向上にもつながっていくのではないでしょうか。

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写真左は、ビジネスコーチ株式会社 営業本部 課長 松井 聡也、写真右は営業本部 佐々木 紀恵



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