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株式会社日立製作所様
お客様に聞く(1on1ミーティング導入プログラム) ー 株式会社日立製作所 ー
【株式会社日立製作所様】1on1文化によって若手社員の主体的なキャリア形成をサポート

主任 浜崎 恵美子 氏、同部署 和 娟娟(わ けんけん) 氏(※取材時点の所属)
1on1文化でキャリア形成をサポートする
クライアント企業情報
株式会社日立製作所様
総合電機メーカー。売上高1兆7932億5000万円(2020年3月末現在)。従業員数3万1442名
(2020年3月末現在)。
ご担当者様
浜崎 恵美子 氏:
新卒で日立製作所に入社以来、一貫してIT関連の人事業務に携わる。現在はITシステムの基幹を支える開発部門の採用・人財開発をメインに担当。
和 娟娟 氏:
大学時代に来日し、大学院では教育分野の研究に携わる。2014年に日立製作所に新卒入社し、開発部門の人財開発を中心に担当。
お客様の課題・ご要望
- 20代を中心とした若手のキャリアに関して、中長期的なキャリアプランに不安を抱える社員が増え、退職者が増加傾向にあること
- 組織内コミュニケーション不足
ビジネスコーチの提案・サポート
- 1on1導入研修(トライアル・本実施)
- 1on1フォローアップ研修(トライアル・本実施)
- 動画学習
はじめに
多様性に富む組織づくりが求められる中で、「個人ごとのキャリア感の隔たり」に悩む企業が増えています。特に世代間のキャリアに対する考え方の違いは、多くの企業が直面する問題だと言えるのではないでしょうか。株式会社日立製作所は、この問題を解決するためにビジネスコーチの1on1ミーティング導入プログラムを取り入れています。同社人事部門の浜崎 恵美子 氏と和 娟娟 氏に、1on1文化を定着させるためのポイントを伺いました。
1on1ミーティング導入の背景 1on1の定着には、「How to」だけでなく「Why」も重要
――1on1ミーティング導入プログラムの活用を検討した背景についてお聞かせください。
和氏:今回1on1を導入した、ある製品開発部門(以下:開発部門)は、2019年当時、各種サーベイから大きく2つの課題が見えていました。
1つは20代を中心とした若手のキャリアに関するものです。中長期的なキャリアプランに不安を抱える社員が増え、退職者も増加傾向にありました。もう1つの課題は組織内のコミュニケーションです。エンゲージメント調査においては、コミュニケ―ションの項目で指数が低下していました。
こうした状況から、組織として若手の成長を支援し、組織内コミュニケーションを活性化させるために、上司のサポート力を強化していく必要があると考えていました。
浜崎氏:大きな流れとして、当社ではここ数年で進んだ働き方改革や、メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用への転換といった変化があります。組織のあり方や働き方が大きく変わる中で、従来は現場が中心だったところにも、組織開発という形で人事が現場へ入り込んでいくようになりました。
――1on1ミーティングの導入サポートやコンサルティングはさまざまな企業が展開しています。その中でビジネスコーチを選んだ理由を教えてください。
和氏:複数社のサービスを検討したのですが、ビジネスコーチは検討した企業の中でも特に実績が豊富だと感じました。実は、ビジネスコーチとの接点は他社人事の方からの紹介がきっかけだったんです。その企業も当社と似たような課題を抱えていて、ビジネスコーチの丁寧なフォローによって成果を上げていました。
浜崎氏:私たちの現場の感覚をうまくつかんでもらえそうだという期待もありました。豊富な実績をもとに、1on1の進め方だけではなく「なぜやるべきなのか」「1on1をやることでどんな効果があるのか」といった部分を、当社の実態に合わせてリアルに教えてくださいました。「How to」だけではなく「Why」。これが1on1を定着させていくためには大切なのだと気づかされました。
1on1ミーティング導入時のポイント 実施目的を繰り返し伝え、人事とマネージャー層で「走りながら一緒に」1on1を実行
――実際に1on1ミーティング導入プログラムを進めていくにあたって、懸念していた点はありましたか?
浜崎氏:組織開発の観点では、開発部門のマネージャーがいかに課題意識を持ってくれるかが重要だと考えていました。言い換えれば私たち自身が「Why」をいかに伝えていけるかということですね。それができなければ、現場のマネージャーにやらされ感が残ってしまい、私たちがめざす「若手の成長支援」の実現はできないのではないかと懸念していました。
和氏:1on1を進めるにはマネージャー層に時間を割いてもらう必要があります。加えて、組織のトップ(開発本部長)の支持やコミットメントも重要です。こうした点からも幅広く理解を得る必要がありました。
浜崎氏:もともと当社では「パフォーマンスレビュー」と呼んでいる評価面談や業務報告、連絡は日ごろから行われていましたが、上司が部下のために時間を割いて定期的にコミュニケーションをしていく1on1の文化は、必ずしも根付いているとはいえない状況でした。まずは「部下と向き合う時間の目的」を見直してもらう必要があったんです。
――その目的はどのように伝えたのでしょうか。
和氏:1on1の目的は「部下の成長支援とチームとしての効率的な業務遂行」であることをマネージャー層に繰り返し伝えました。並行して1on1ミーティング導入プログラムをトライアルで半年間進め、途中経過と確認のアンケートを踏まえてフォローアップ研修を実施しています。フォローアップで研修では、1on1に取り組んでみて分かったことや明らかになった課題を抽出してビジネスコーチからアドバイスをもらいました。
――こうした目的意識のすり合わせや浸透には時間がかかりそうだという印象もあります。
浜崎氏:私たちの場合は「走りながら一緒に考え、浸透させていく」というスタイルで進めています。若手の退職が増えていたこともあって、スピード感をもって一気に進める必要がありました。当社の人事は、どちらかと言えば計画をじっくり立てて実行する傾向にありましたが、今は人事もソフトウェアのアジャイル開発のように、柔軟に変化に対応していくことが大切だと考えています。研修や制度を綿密に設計することは大切ですが、一方では考えすぎて課題解決のチャンスを逃してしまうこともあると思うんですよね。
たとえば、マネージャー層と若手のキャリア観の違いについていうと、40〜50代を中心とした現在のマネージャー層は、会社にアサインされた仕事をどんどん遂行していくことが求められた時代を経験しています。一方で若手は大学時代からキャリア教育を受け、自律的に仕事を生み出すことが大切だと考えています。マネージャーが「会社から与えられた仕事が優先、キャリアは二の次」という昔ながらの考えで部下と接していては、このキャリア観の違いは埋まりません。
若手の成長支援が待ったなしだったからこそ、マネージャー層にも走りながら1on1を実行し、部下を理解してもらうことが必要でした。
1on1ミーティングで成果が出た理由 トップに1on1の効果を実感してもらい、コミットメントを伝えていく
――2019年10月からトライアルを開始し、2020年3月からは対象範囲を広げてプログラムを進めています。動画学習も取り入れていますが、現状の手応えをどのように感じていますか?
和氏:1年半続けてきて、変化を感じるようになってきました。サーベイの「直属の上司が成長支援のコーチングを日常的に行ってくれる」「直属の上司は私のキャリア開発を熱心にサポートしてくれている」という設問では、前年比で10ポイント以上の上昇が見られました。定性的なコメントでは、「上司が1on1を定期的にやってくれるようになった」「何でも話せる雰囲気を上司が作ってくれた」「自身のキャリアを考えられるようになった」という声も届いています。
マネージャー層においては、スタートから半年の時点で約60%が「1on1はマネジメント手段として有効」だと回答しています。「部下の人となりが分かり、信頼関係を構築できた」「メンバーに対する先々の期待やキャリアについて会話できることは有意義」といったコメントも寄せられました。
浜崎氏:やれば成果が出るし、実際に組織は変わるんだな、と実感しました。各種サーベイでは当初の課題が改善していることがわかり、若手のエンゲージメントも向上、職場への定着も図られてきたように思います。私たちもこれらの成果に励まされています。
――こうした変化が見られるようになった秘訣はどこにあるのでしょうか。
和氏:マネジメントの一部分だけでなく、さまざまな層へ同時に働きかけることがポイントだったように思います。めざすべき組織の姿やそれに向けたアクションプランなどを、開発部門のトップである本部長から部長へ、部長から課長へと伝えてもらうことを重視しました。
そのため本部長には、ビジネスコーチの研修とは別にエグゼクティブ・コーチングを受けてもらっています。本部長自身が知見を得て部長・課長のコーチング役を担うことで、良いサイクルが回っていきました。
浜崎氏:部長・課長にだけ「マネジメントを変えてください」とお願いするのではなく、トップの本部長自らがマネジメントを変えていく意思・行動を見せるということですね。トップを動かすことは本当に大切だと思います。
――「トップに動いてもらうのは難しいかも……」と感じる企業も多いかもしれません。
和氏:たしかに、トップに「コーチングを受けてください」とお願いするのは勇気のいることですよね。「私のマネジメントに問題があるのか?」と誤解されてしまうかもしれません。私たちのケースでは、「これは組織全体を良くしていくために、全員で取り組む必要があると考えているので、ぜひ協力してください」と正面からお願いしました。
浜崎氏:今回1on1を導入した開発部門以外のデータと比較し、エビデンスを示しながら本部長に理解してもらった部分もあります。実際に1on1を進めていく中で本部長も効果を体感し、「部下や組織の変化が見えるようになった」と手応えを話してくれました。
1on1推進担当者の感想 マネージャーが常に答えを出す必要はない。メンバーの話を聞き、一緒に悩むだけでも意味がある
――浜崎さんと和さんも定期的に1on1ミーティングを実施されていると伺っています。実際に取り組んでみて、どのような変化を感じていますか?
和氏:開発部門には2週間に1回の1on1を推奨していますが、私は週1回、浜崎に1on1ミーティングを実施してもらっています。仕事についての相談はもちろん、部署内の人間関係やプライベートのことも安心して話せるようになりました。また、「上司に聞かれたら答える」のではなく、「何を相談したいかを自分で考える」という主体性が身についてきたように思います。
浜崎氏:マネジメントをする側にとっても、定期的な会話の時間があることはとても重要です。私がマネージャーとして見えている世界と、和がメンバーとして見えている世界や感じていることは違うんですよね。そうした情報を教えてもらうことは、チームのタスクや機能を適切に分配していく意味でも欠かせません。
和の言うように、メンバーが主体的に仕事に取り組んでくれるようになれば、仕事のアウトプットの質も当然高まっていきます。問題意識が深まる分だけ、成果が出るまでのスピードが早くなっていると感じますね。
――1on1をやってみて感じた難しさはありますか?
浜崎氏:「どんなスタンスでメンバーと向き合っていくべきなのか」「どこまで本人の課題に踏み込んでいけばいいのか」そうしたことをよく考えるようになりました。
話題や1on1実施時のメンバーの状況にもよりますが、マネージャーがその場で答えを出す必要はないのかもしれません。メンバーの話を聞いて、ときには一緒に悩む。そんな「傾聴」の場があるだけでも意味があるのだと思います。
――最後に、1on1ミーティングを今後どのように進めていこうと考えていますか?
浜崎氏:まずは事業部全体へと拡大させ、浸透させることをめざしています。今後はこの1on1ミーティングの定着に向けた取り組みが好事例として日立全社へ広がっていけば良いですね。
和氏: 開発部門での1on1の取り組みや成果が口コミで広がっており、事業部を超えてさまざまなところから問い合わせが増えています。こうした声にも励まされながら、良い成功事例を全社に届けられればうれしいです。
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