「1on1」の勘所:❸-2 導入を検討するなら
延べ 6 万人以上への 1on1 導入支援で分かった ビジネスコーチ(株)の成功する「1on1」のポイントとは
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1no1の勘所
前回の第 1 回(❸-1)では、1on1 がうまくいく企業のポイントや、1on1 導入時に押さえるべきポイント、1on1 導入中に出てくる、頻出お悩み事例の上司版をお伝えいたしました。
今回は❸-2 は「部下版」です。
~目次~
1.1on1 導入中に出てくる頻出お悩み事例(部下)
2.1on1 を定着させるためには
3.1on1 導入におけるスケジュールイメージ
4.まとめ
執筆者

ビジネスコーチ社
マーケティング本部 広報担当
1.1on1 導入中に出てくる頻出お悩み事例(部下)
<1on1 の目的と定義編>
✓正直なところ、もう1on1 をやりたくない
→このような悩みが出てきた場合、以下の 2 つの理由が想定されます。
【1】1on1 の目的・意義への理解不足
まず上司自身が 1on1 の目的・意義を理解したうえで、なぜ 1on1 が部下にとって必要な時間なのかを丁寧に説明し、部下に理解して
もらうよう努めることが重要です。
また、1on1 がどのような時間になると価値を感じるか、部下の意見を聞いてみることも有効です。
【2】部下の上司に対する信頼不足
上司のスキル不足や、元々の関係性が良好でない場合に出てくる理由です。上司は部下との信頼関係構築に集中し、少しずつ、
対話の意義について理解してもらえるように努めましょう。
上司自身の自己開示(苦労話・趣味の話など)は、部下との信頼関係構築に有効です。
<その他:部下>
✓1on1 で上司に話したいテーマが特に見つからない
→基本は部下自身がテーマを考えることが重要なので、次回の 1on1 を実施するまでに事前に考えるよう、上司が促しましょう。
また 1on1 の終わりに、今回の対話の内容を踏まえた次回のテーマの話を上司から振ってみても良いでしょう。
ただ、どうしても部下からテーマが出てこない場合に備えて、上司もテーマを準備しておくことをおすすめいたします。
※テーマ一例:直近 1 カ月の振り返り/職場、上司へのリクエスト/職場内の人間関係/業務や組織改善/体調・モチベーション など
✓1on1 で上司に話したプライベートな話は、他の人にも共有されてしまうのではないか、と不安に感じている
→1on1 の場は、「部下の安心安全の場として用意されているため、私(上司)から他の方に対して共有はしない」と、上司から部下にしっか りと伝えてあげましょう。
ただ、内容によっては、他の方にも共有して相談をしたほうが良いケースもあります。この場合には、上司から部下に対して、「A さんに
も相談をしてみたほうが良いと思うのだけれど、伝えてもいいかな?」と必ず確認を取るようにしましょう。
このような頻出お悩み事例を FAQ としてまとめ、ハンドブックにまとめている会社も多くございます。今回ご紹介した頻出お悩み事例はほんの一部ですので、もし気になられた場合には、1on1 を扱っている外部業者への問い合わせや、セミナー参加時に質問されることをおすすめいたします。
2.1on1 を定着させるためには
<ポイント①:定期的なフォロー>
現場の上司の皆さんが、1on1 の取り組みが会社からの押し付けではなく、期待されていると感じていただけるような、スキルの定着・向上のためのフォローが効果的です。
そのフォローの例として、以下の 3 つを参考にしてみてください。
(1)フォローアップ研修の実施
1on1 で必要なマインドやスキルは、1 度の研修だけではなかなか定着しません。
先述の定期的なアンケートの結果を踏まえながら、復習のための研修や、更なるスキル向上のための研修を検討されると良いでしょう。
(2)社内勉強会の実施
社内勉強会は、最近検討される企業が少しずつ増えてきております。
事務局の方や外部の方がファシリテーターとなり、定期的に上司の方に集まっていただいて開催するものです。ナレッジの共有やロール
プレイング、また学習動画を見て気づいたことをディスカッションするなど、様々なやり方でスキルの定着・向上を図る学びの場として
実施します。
フォローアップ研修以上に上司の方々が主体となって取り組む場となるため、お互いの状況に共感しつつ、切磋琢磨して取り組むモチベ
ーションが高まりやすい方法といえます。
(3)広報部門による周知活動
部下に比べて 1on1 による成果が見えにくい上司のモチベーションを向上させることや、会社として優先度の高い取り組みであると上
司・部下の皆様にお伝えすることを目的としています。
事務局の方が実施されるケースが多く、アンケートの結果やコメントを一部抜粋して社内報に公開したり、1on1 に関する参考記事を周知
したりするなど、現場の上司にとって有益な情報を提供している会社も増えております。
<ポイント②:内製化>
1on1 を推進するにあたり、始めは外部に依頼をして取り組んでいるところも少なくありません。しかし、最終的には、“外部を使わずとも自社内で 1on1 を浸透・定着させること(1on1 を社内の文化にすること)”が必要です。
そのためには、1on1 の取り組みを進めていくなかで内製化をするための手法も検討する必要があります。
(1)社内コーチの育成
事務局の方や各事業部から選抜された方が集まり、3 日間~6 日間のトレーニングを受け、1on1 で必要なコーチングスキルを習得する
とともに、人に教示するためのスキルを習得できるよう、練習を重ねます。また、トレーニング受講期間中は、トレーニングの合間に
自らが 1on1 を実践し、日々スキルを磨き上げていく期間となります。
(2)個別コーチング(1on1)体験
自らがプロからコーチングを受ける体験をすることで、新たな気づきが生まれ、行動が変化することで、コーチングの良さを体感できる
とともに、プロのコーチングの手法を学ぶことができます。
コーチングのクライアント体験をされる際には、最低 3 回~実施されることをおすすめいたします。
3.1on1 導入におけるスケジュールイメージ
※参考例
<トップ(経営幹部)・上司向け>
・導入ガイダンス(3時間):
1on1 の意義や目的の理解を促すための研修
<上司向け>
・スキルトレーニング(7 時間):
1on1 を行う際に必要なマインドやコーチングスキルの理解・習得のための研修
・クラウドによるフォローアップ(6か月~1年間):
日々の振り返りにより、研修での学びの実践や、定着を促すためのツールの活用
・プロコーチによる個別セッション(3回~):
プロからコーチング(1on1)を受けることにより、コーチングによる対話の効果を体感するとともに、部下に 1on1 を行う際のスキルを学
ぶための個別コーチング体験
・フォローアップトレーニング(4時間×1回~):
定期的な上司・部下からのアンケートの結果をもとに、不足しているマインドやスキルの復習や、新たに学ぶべきスキルの習得を目指す
ための研修
<選抜者向け>
・社内コーチ育成トレーニング(7時間×3日間~):
内製化をするためのより深いマインド・スキルを学ぶための研修
<事務局向け>
・アドバイザリー(1時間~1.5時間×1回~):
効果的に推進していくための検討や、アンケートやハンドブックの作成のご支援をするための定例会議
トレーニングをしっかり行った場合の代表例ですので、もちろん企業によってやり方や取り組む内容、またスケジュールの組み立て方も異なりますが、参考にされてみてください。
4.まとめ
今回、2 回にわたって 1on1 に関してご紹介をいたしましたが、いかがでしたでしょうか。
1on1 を導入する際に必要なトレーニングやポイントなど、イメージしていただけたのではないかと思います。
最初は事務局の皆様のご負担も多くなりますが、せっかく取り組むのですから、“やってみたけどうまく浸透しなかった”といったことが起きないように、ポイントを 1 つ 1 つ押さえることで、確実な導入成果を出していきましょう。